どうして? 制作あとがき 『放課後インスタントセックス』
「放課後インスタントセックス シーズン春」としての制作あとがきはこれが最後になります。
「どうしてこの作品を選んだんですか?」
2020年8月下旬
パソコンのモニタには5名の会議出席者。こちらは2名なので計7名でのビデオ会議。
はじめましてのメンバーばかりでの企画会議。
それぞれご挨拶の後、いざ最初に出てきた質問が「どうして?」でした。
ビジネスミーティングなので、商業的な気の利いたこと言えたら良かったんですが、
「面白かったから……」の一言で済ませてしまいました。
私達も様々な小説や書籍をオーディオブック化してきました。その権利許諾にあたっては、いきなり作家先生と話をするというケースのほうが珍しいのがオーディオブック化の工程なのです。
出版社や、有名な作家先生ならば事務所なりエージェントや協会などをとおしてオファーして、そもそもオーディオブックとはどういうものなのか、日本のオーディオブック市場とは……。などお話をして理解して頂いてと何段階もステップを通すのが日常です。
で、今回もそのような流れになったのですが。
「どうして?」
この言葉が今回の作品制作ではずっとキーワードとしてついてきました。
佐々木かず先生に初めてあったときにはこちらから
「どうしてこの作品を書こうと思われたのですか」
「どうして、1月から止まっていた中、執筆再開したのですか?」と「どうして」と初対面で不躾な質問を投げかけました。
その時のお話はすでにメルマガなどで少しずつ佐々木先生が語ってくれていますので是非拝読ください。
そしてこの作品制作で一番心の底から「どうして?」と思ったのは
読み手が決まったときでした。
企画立ち上げの初期段階で、お付き合いのある大手声優プロダクションさんにご挨拶にいって「R系の小説になりますが、やってみたい作品があるのでどなたか候補いただけますか?」とお願いにいきました。
感触としては「さすがにウチでは出てくる人いないんじゃないかなあ」というお言葉頂いて、とぼとぼ帰路につくことになりました。
単純に読み手を探すだけであればルート変えれば見つかったかと思いますが、オーディオブックという特殊な読み方を理解してパフォーマンスを発揮できる人にお願いしたいという想いからあえて大手でお付き合いあるところに一番最初にいきました。
で無事作品化きまり、台本も出てくるタイミングで前述の事務所に正式オファー。
正直ダメ元で、他のあたる先も視野に入れてオファーをかけました。
数日後、「鏡さんと持乃さんするって」と連絡頂いたとき「どうして?」と心底驚きました。
お二方とも様々な実績というか看板ももっていて、何度か現場でご一緒してその実力も充分知っていただけにびっくりしました。
この瞬間、作品の完成形が頭に浮かび上がりました。そして納得できる作品作りができると確信しました。
収録も山あり谷ありでしたが、良いものをつくることができたと思っています。
あとはできる限り多くの人に聴いてもらうのが編集部の仕事ですね。
結局、収録中もそれぞれが作品作りに没頭したこともあり、一度も読み手さんたちには「どうして?」と尋ねることはありませんでした。
ただ、
「きっと二人の読みがなければ、この作品はゴールまでたどり着けなかったと思います。
ありがとうございました。」
きっと、続編にたどり着くと思いますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。
以上、「放課後インスタントセックス シーズン春」制作終了。発売開始です!